日本ふしぎ祭

9月4日 ウンジャミ(沖縄・大宜味村)


当日、沖縄は観測史上最大という台風の中だったが、ウンジャミは「トーゼン!」という感じで行われた。
海の神を迎える祭りなのだ。暴風雨中でも、当たり前のように海に向かって祈るのだ。
10人ほどの巫女たちが集落をまわり、地元人に泡盛と餅をすすめる。
言い方は悪いが、なんとなく「ホステス」みたいだ。それほど気さくなのだ。
巫女たちは僕にも気軽に泡盛をすすめてくれる。

一人、マナーの悪いカメラマンがいた。彼は、いてはいけないところでカメラを回していた。
そこは神のいる場所で、人間はそこに立ってはいけないのだ。
いちおう巫女や周りの人も注意するのだが、カメラマンは聞こうとしない。巫女たちは、
「しょうがないか……」
というふうにあきらめて、そのままカメラマンのいる方向に祈り始めた。

「テーゲー主義」である。
宗教的なタブーを、それほど真剣に考えていないのである。
しかし、このテーゲー主義ゆえに、この祭りは滅び行くかもしれない。
何かを守り続けるには、強烈な意志と排他意識が必要だからだ。
ここに沖縄の人の優しさがあるのだが、僕にはこの悲しい光景と、いまだに在日米軍の80%が沖縄に集中し、沖縄の人が常にリスクを
払わせられ続けている現状とが、重なって見えた。