日本ふしぎ祭

 3月15日 ジャランポン(埼玉・秩父)


「幽霊がズンドコ節を踊る祭り」と言っても誰も信用しないだろうが、そういう祭りが本当にあったので、ここに報告してしまう。
秩父の山奥で行われている「ジャランポン」。
名前からして、すでに怪しい。

要するに、葬式の真似事なのだ。
コントにでも出てきそうな格好の「幽霊」が棺桶に横たわり、みんなが周りでデタラメなお経を唱え、最後に夜中に、廃墟のような神社に棺桶を運び込み、幽霊が「ズンドコ節」を踊ってシメ、である。

とうてい真面目な意味があるとは思えない祭りだが、面白いからいいのである。
「ズンドコ節」を踊るのも完璧な思いつきで、現地の人が、
「この祭りに筋書きはない、即興でやるべ……」
とまるで山下洋輔のようなことを言っていたのが印象的だった。
ジャズのインプロビゼーションの精神なのだ。

奇祭の真髄ここにあり、といった祭りである。


●秩父鉄道浦山口駅より徒歩25分、下久那公会堂にて。

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