日本ふしぎ祭

1月16日 ヘトマト(長崎・福江島)



まいった。
僕はこの祭りを、僕の選ぶ「キング・オブ・奇祭」に認定したいと思う。
あまりにも意味不明な出来事が、悪夢のように続いていくからだ。

まず祭りの現場に行くと、近くの駐車場に巨大なゾウリが
「ドン!」
と何の遠慮会釈もなく置いてあった。
それだけである。周りに人は誰もいない。

駐車場の中に、巨大なゾウリ。
まるで、ルネ・マグリットの絵のようにシュールな光景だ。

と、突然晴れ着姿の女性が二人現れて、「樽」の上で羽根突きを始めた。
それが終わると顔にスミを塗った裸の男たちが、ワラで作った変なボールでラグビーを始め、それが終わると急にみんなで綱引きを始め、それがまた唐突に終ったかと思うと、先ほどの巨大ゾウリをやおら担ぎ上げ、嫌がる若い女性をむりやり捕まえては、その上に乗せてボンボン放り投げて遊ぶのだ。
で、最後に神社に巨大ゾウリをふたたび
「ボン!」
と野ざらしにして、シメである。

もともと別々にやっていた行事を、無理に一日でやるようになったらしい。
やっていることが支離滅裂で、まったく関連性が見えないのはそのためだろう。
ほとんどブニュエルとダリの前衛映画『アンダルシアの犬』だが、祭りの起源自体が不明で、参加者もよく分からずにやっているところが、なんとなくすがすがしい。
祭りはこうでなくちゃ。

(長崎港よりフェリーで4時間、福江市下崎山地区の白浜神社にて)

*このサイト内の写真、文章の無断転載を固く禁じます。 Copyright(c)2001-2004 SUGIOKA Kotoku. All rights reserved.