すでにみなさんご存知のことと思うが、イエス・キリストは実は日本で死んでいたのである。
彼がゴルゴダの丘で死んだと言うのは間違いで、ひそかに生き延びて八戸港から上陸して日本に渡り、山に住んで「天狗」と呼ばれて恐れられ、最後に漢字とカタカナで書いた遺書を残して青森県の新郷村(旧戸来村)で死に、そこには今でも「キリストの墓」がぽつねんと立っている……というのはあまりにも有名な事実である。
「そんなバカな!」
「証拠はあるのか!」
と反論される方もおられるだろうが、キリストがゴルゴダの丘で死に、三日後に復活した……などということも実は聖書にだけしか書かれていない。
「神話度」では、「キリスト青森死去説」とたいして変わらないのだ。
ということで、キリストの墓のある青森の新郷村では、毎年6月に「キリスト慰霊祭」が開催されている。
十字架の立った「キリストの墓」の前で神官が祝詞を唱え、獅子舞いを演じ、みんなが笛と太鼓でピーヒャラやるのだ。
それで、キリストの墓の前で、おばはんたちがヘブライ語の歌と言われる、日本語としては意味不明の盆踊り「ナニャドヤラ」を踊るのだ。
いったい何教の祭りかわからない祭りだが、日本はもともと八百万の神のいる多神教風土なので、キリスト教と神道がごちゃまぜになっても別に不思議ではない。
さらに近くでは、どう見てもただの石の塊としか思えない、「世界最古のピラミッド」と呼ばれる大石神ピラミッドまで見れるので、圧倒的にお得感の強い祭りだ。
僕が今までで見た、最も感動的な奇祭であることを言い添えておく。
●JR八戸駅から車で一時間、キリスト公園にて
☆註 「ナニャドヤラ」
ナニヤドヤラヨウ
ナニヤドナサレデサァエ……
は日本語として意味不明なので、ヘブライ語の歌などと言われているが、柳田國男や金田一京助はこれを「方言のくずれたもの」としている。
なお、この村でキリストが死に、ユダヤと結びつきが強いことの傍証として、次のことが言われている。
・村の旧名「戸来(へらい)」は「ヘブライ」が転化したもの
・赤ん坊の額に十字架を書く習慣があった
・現地の沢田家の紋章は、ダビデの星とそっくりである
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